透明な農具と見えない実り

記憶が定かではないのですが、おそらく「まんが日本昔ばなし」あるいはこれに類するアニメ番組で見た、あるエピソードが強く印象に残っています。

あらすじは以下の通りです。

  • ある農夫が病気で死の床につき、息子たちを呼び寄せます。
  • 農夫は「畑に宝物を隠してあるから、私が死んだら隅々まで掘り起こして探すのだ」と遺言を残します。
  • 息子たちは父の死後、宝物を見つけようと、畑の土を一生懸命、深く掘り返します。
  • しかし、いくら探しても宝物は見つかりませんでした。

と、ここまでが「起承」で、これを受けて「転結」が続きます。

  • ところが、隅々まで丁寧に耕された畑は、その年に例年にないほどの大豊作となり、息子たちは大きな富を手にしました。
  • そこで息子たちは、父が言っていた「宝物」とは、懸命に働くことそのものであり、それによってもたらされる豊かな実りのことだったと悟ります。

このエピソードは折に触れて思い出すのですが、それは「要するにショートカットはないのだな」と痛感するときです。

「宝物」を手に入れるためのショートカットというものはなく、地道に時間をかけて「耕す」しかない。

とはいえ、そのような時間のかかる営みを途切れることなく続けるためには「ゴール」と「燃料」が要ります。

これに加えてもう1つ、「レシピ」もあれば成功率が高まるでしょう。

この農夫は息子たちが「ラクをして結果を得ようとする」ことを見越して、この3つの「アイテム」を与えています。

「ゴール」とは「宝物」であり、「燃料」は「宝物が手に入る(かもしれない)という期待感」と言えるでしょう。

そして「レシピ」は「私が死んだら隅々まで掘り起こして探すのだ」という指示です。

何をどうすれば宝物が手に入るのか、その方法を具体的に示しています。

この3つのアイテムを手にした3人の息子たちは、しかし、思ってもみなかった形で「宝物」を手にすることになります。

このエピソードが奮っているのは、息子たちがアイテムを手に入れたことにさほど意識を向けず、それでいてこれらを意図せずして最大限に活用することで、“クエスト”を成功させ、当初の期待とは異なる宝物、すなわち「認識のアップデート」を獲得するところです。

タスクシュート・ジャーナルなので、ここから唐突にタスクシュートの話に入っていきます。

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