NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の脚本・三谷幸喜氏のインタビュー記事で以下の一文が目に留まりました。
特集インタビュー脚本・三谷幸喜さんインタビュー~ひとりひとりの人生を、共につくりあげる~|NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
主人公やその周辺の人物、特に1年間ずっと登場してくる人物に関しては、実はあまり長期展望みたいなものはつくっていないんです。
その後に以下のような言葉が続きます。
- 義経のように登場が限定されている人物は、登場から去っていくまですべてプランを考えている
- (登場期間が長い)義時や政子たちは、先読みはせず、その時々で常に考えながら書いている
- さもないと、彼らの人生を逆算して描くことになる気がして嫌
このくだりを読んで、仕事にも同じことが言えるなと感じました。
- 短期的な仕事は、取りかかりから仕上げまでの見通しをきっちり決める
- 長期的な仕事は、ある程度の方向性が決まったら後は走りながら考える
- 最終ゴールを決めて、ここから逆算してコースを設定するのは…
最後の「…」についてはいろいろあるのであえて省略しましたが、実はここが今回掘り下げたいポイントです。
ある程度の方向性を決めただけで、あとは走りながら考える、すなわちアドリブでいくという姿勢は傍から見ると実に危ういものです。
一方で、最終ゴールを定め、そこに至る全工程をもれなく洗い出し、必要な時間を見積もり、線表を引き、これに従って着々と作業を進めていくというやり方は、アドリブに比べれば安心感はあります。
でも、スタートするまでの準備に膨大な時間がかかるでしょう。
実際に取りかかってみて初めて「事前にこういう準備が必要だった」ことが分かることもあります。
事前に想定しきれない事態も無数にあるでしょう。
つまり、100%の準備は不可能なのです。
問題は、どこまで計画し、どこからはアドリブに任せるか、そのさじ加減です。