前回に引き続きタスク管理における「脱線」について。
前回も書いた通り「脱線」とは、その名の通り「線」から「脱」することを指します。
あらかじめ「この順番で取り組もう」と決めておいた予定「線」から逸「脱」する状態。
沿うべき予定線があるから脱線という概念が生まれるわけです。
であれば、最初から予定線を引かなければ脱線しようがなくなるはずです。
ただし、代わりに「行き当たりばったりになりすぎる」という不安を抱えることになります。
予定線はこの不安を軽減するためのもの、と言えるでしょう。
問題はどこまで詳細に予定線を引くか。
引きすぎれば「窮屈」に感じて脱線を誘発しますし、引かなすぎれば自由度が高すぎて不安が募ります。
つまり、
- あらかじめきっちり予定線を引いてから始める
- 予定線はいっさい引かずに思いつくままに始める
という両極の中心付近の、ちょうどいい妥協点を見つけることができると良さそうです。
前回の記事ではこのあたりについて僕自身のタスクシュートでの実践事例を図解をまじえてご紹介しました。
ところで、そもそも人はなぜ「ちょうどいい妥協点」を見つけようとするのでしょうか?
それは、そこに「しっくりくる過ごし方」があるからです。
言い換えれば、一日の過ごし方について「納得」したいわけです。
「満足」したい、と言い換えてもいいでしょう。
予め引いた予定線から脱線するのは、
- この線に沿って走り続けると、「納得」度が下がるかもしれない
という危機感があるから。
一方、予定線をいっさい引かずに思いつくままに過ごしているときは、
- 今この瞬間の自分にとってもっとも「納得」のいく過ごし方ができている
という確信を持てているから。
いずれも、
- 「今この瞬間」をベストな瞬間にしたい
という想いが窺えます。
実はここに問題があります。
予定線を引いた上で一日を始めている場合、途中でいっさい脱線せず、この線に沿ってそのまま最後まで走り抜けることが結果としてベストな過ごし方になる可能性もあれば、やはり要所要所で脱線することでベストな過ごし方になる可能性もあるでしょう。
一方、思いつくままに過ごすと決めて一日を始めている場合は、無数に下すことになる瞬間瞬間の決断の組み合わせ次第でベストな過ごし方になるかどうかが決まります。
いずれの方針においても、その瞬間瞬間の「納得」と一日全体の「納得」とが一致するとは限らないのです。
この問題に、どう取り組めばいいか?