前回に引き続き、Tさんのインタビューをお届けします。
記録が役に立つのは分かるけど…
大橋(以下、O):前回、「記録をとる作業は自動ではありませんので、何もしないよりは手間はかかりますが、その手間を上回るメリットを感じています」というお話がありました。
確かに記録を残しておけば後から役に立つわけですが、記録に慣れていない人は何を記録に残せば後から役に立つのかの勘どころのようなものがつかめず、むしろメリットよりも手間が上回ってしまうこともあるんですよね。
そのあたり、何かアドバイスはありますか?
Tさん(以下、T):すぐに役に立つ記録としては、持ち物リストがあります。
毎日の通勤はもちろん、宿泊を伴う出張や、旅行時の持ち物リストなどはとても役に立ちます。
実はこういったリストは記録をもとに作られています。実際にかばんに入れて持ち出したものを記録していくことで、これが持ち物リストになるからです。
O:なるほど、「実際に持ち出した」という記録ですね。
もっと正確に言うと「持ち出した物のうち実際に出先で役に立ったので今後も持ち出すようにしようと決めた物と、出先でその必要性を感じて今後は持ち出すようにしようと決めた物から成るリスト」ですね。
T:リストに記載する順番は、家でその持ち物が置かれている場所ごとにしています。
こうしておくと「洗面所で、化粧ポーチと洗顔用具を持ってくる」と持ち物を一気に集めることができて、家の中を無駄に行き来することが減るからです。
当日、出発直前に用意する必要があるもの、たとえば、当日朝使う婦人体温計やコンタクトレンズケース、ドライヤーなどは入れ忘れないように赤字にしています。
一度このような持ち物リストを作ると、次に似たような外出がある場合、それを元に新たな持ち物リストを作ることができます。
ゼロから考え始めるより、よっぽど早く、抜けがなく持ち物をそろえられるんです。
O:リスト作りの効率が上がっていくわけですね。
T:さらにリストがあれば、空き時間に先取りして準備を進められます。
前日の夜になって準備を始めると「日焼け止めが必要だったのに、すでにお店は閉まっている…」なんてこともありますので。
そうならないように、移動時間などのすき間時間にリストをざっと見て、足りない物を買い物リストに書き出しておけば、前日は持ち物リストに従って持ち物をそろえればそのまま準備が終わります。
必要なものを考える時間と準備する時間を分けることができる、その内容をつないでくれるのが持ち物リストというわけです。