「記憶の補完」ツールとしてのScrapboxの役割

前回の記事の続きです。

「記憶の補完」ツールの1つとして、Scrapboxの役割について掘り下げました。

Evernoteが「保存」ツールなのに対して、Scrapboxは「保管」ツールであるという具合に、それぞれに異なる役割を割り当てています。

EvernoteもScrapboxも、記憶しきれない情報を入れておく場所です。

そこから必要に応じて引き出すことで「記憶の補完」が実現します。

問題は単に引き出せればいいというわけではないこと。

「必要に応じて引き出す」と簡単に書きましたが、この「引き出す」には少なくとも次の2種類があるでしょう。

  • 1.「確かこういう情報があったはず」という断片的な記憶をもとに引き出す
  • 2.入れた情報に関連する情報が「関連情報」として引き出される

1は目的を持って引き出そうとする能動的な行為であるのに対して、2は多くの場合、入れていたことを忘れていた過去の情報が図らずも引き出されるという受動的な出来事です。

つまり、1は意思をもって行うタスクであり、2は意図せずして発生してしまうイベントであるという違いがあります。

とはいえ、Evernoteは1であり、Scrapboxは2である、というわけではありません。

Evernoteでも2のような思わぬ再会は起こりますし、Scrapboxでも1のような検索は行います。

ただ、Scrapboxを使い続けていると、1よりも2を期待するように「導かれる」ように感じます。

  • 似たようなことを別の文脈で書いていたじゃないか

といった過去の自分に再会することがしばしばあり、

  • もっとこういう再会はないのか

と望むようになるからです。

以下、最近遭遇した再会事例をご紹介します。

自分が心惹かれるものには、そこに自分ならではの理由がある

きっかけはTwitter経由でたまたま目に留まった以下のブログです。

書き手のアンちゃんはアメリカ生まれ、福岡県宗像市在住。

自己紹介ページには以下のようにあります。

福岡県の田舎の宗像市に住んでいるアメリカ生まれのアンちゃんは、日本の面白いことを博多弁でバイリンガルブログを書く。

記事本文は以下のように日本語 → 英語の順で書かれており、「英語ではこういう風に表現するのか」などといちいち勉強になります。

ああ、面白い!言葉が好きすぎてたまらん。アメリカにいる時間は相当楽しかった。セミナーはうまくいったし、仕事もたくさんできた。いろんなところから来た人たちと友達にもなった。でも、もしかしたら一番楽しいのは、新しい研究課題が見つかったことだ。これからの研究が楽しみ!

Man, this is interesting. I love words like crazy. I had a great time in America. My seminar went really well, and I got a lot of work done. In addition, I made many new rocking friends. But maybe the coolest thing of all is that I found a new research subject that fascinates me. I pumped about what will happen from here.

カジュアルな文体で、親近感を覚えます。

このブログをRSSリーダーで購読し始めるとともに、記録としてScrapboxに以下のようなページを作りました(ページ内にも記載があるとおり、今回が「初対面」ではなく、2年半前にすでにアンちゃんの別の記事をメモしていました)

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